周期表を理解したい学生「周期表はどう化学で役に立つの?ここを見ると、こんな特性がわかるなどあれば、ぜひ知りたいです」
そんな疑問にお答えします。
- 周期表からわかる3つの基礎知識
- 周期表からわかる3つの特性(応用編)
この記事を読めば、化学をあまり知らないあなたでも、化学において「どう周期表が便利なのか」を理解することができますよ。
それでは見ていきましょう。
周期表からわかる3つの基礎知識
いろいろなタイプの周期表がありますが、もっともシンプルなタイプは上の図のようになります。
118の元素が、118の数字にしたがって並んでいる表ですね。
ここでは、この周期表における基礎的な理解を深めていきます。
- 元素番号から何がわかる?
- 陽子と電子の数の関係性
- 周期表の並び方の意味は?
元素番号から何がわかる?
周期表にある元素番号は、一つの元素の中心にある陽子の数を示します。
陽子(プロトン:p)とは、プラス(+)の電荷を持つ、原子核に存在する小さな粒のひとつです。
なので、たとえば元素番号1の水素(H)原子の中心(原子核)には、1個の陽子があることがわかりますね。
また、反対に、陽子(p)の数がわかっていれば、元素番号を知ることもできますよ。
たとえば、なにかの元素の中心に1個の陽子があるとすると、その元素は水素(H)原子であることがわかるのです。
よって、元素番号は元素の中にある陽子(p)の数と一緒であるということが理解できたかと思います。
正解はここをクリック
陽子と電子の数の関係性
周期表の元素たちは中性(電荷がゼロ)なので、陽子とバランスする形で、陽子の数だけの電子が存在します。
電子(エレクトロン:e)とは、マイナス(ー)の電荷を持つ、原子核の周りに存在する小さな粒です。
なので、たとえば元素番号1の水素(H)原子の中には、1個の電子があることがわかりますね。
ただ、元素番号は電子の数に依存しません。
たとえば、水素はH+のように電荷を帯びることがあり、この時の電子の数は0個ですが、元素番号は変わらず1のままです。
よって、周期表からは元素が中性の時の陽子と電子の数がわかるということを押さえておきましょう。
正解はここをクリック
周期表の並び方の意味は?
周期表を初めて見たとき、なんで最初の3行には大きな空白があるんだろうと思いませんでしたか?
ここでは、踏み込んだ内容はご紹介しませんが、その理由は電子軌道にあります。
電子軌道には4つの種類が存在していて、それぞれ軌道には収容ができる電子の数に上限があります。
電子軌道の名前 | 収容できる電子数 |
---|---|
s軌道 | 2 |
p軌道 | 6 |
d軌道 | 10 |
f軌道 | 14 |
これらを踏まえて、周期表を見てみると2・6・10・14のパターンが見えませんか?
- グループ1と2(と一段目):電子を2個まで収容できるs軌道
- グループ3〜12:電子を10個まで収容できるd軌道
- グループ13〜18:電子を6個まで収容できるp軌道
- 下の二つの段:電子を14個まで収容できるf軌道
たとえば、酸素(O)を例にみてみましょう。
まず、酸素の元素番号・陽子の数・電子の数がそれぞれ8であることはわかりますよね。
次に、周期表を上の段から順番にみていく、下記のようになることがわかるのです。
- 一段目のs軌道に2個の電子
- 二段目のs軌道にも2個の電子
- 二段目のp軌道に残りの4個の電子
正解はここをクリック
- 一段目のs軌道に2個の電子
- 二段目のs軌道に2個の電子
- 二段目のp軌道に4個の電子
- 三段目のs軌道に2個の電子
- 三段目のp軌道に6個の電子
このように、周期表は陽子の数の順番に加えて、電子軌道を見やすい形に配置されているのです。
周期表からわかる3つの特性(応用編)
周期表の基礎知識をふまえて、周期表からはそれぞれの原子における次の3つの特性を見つけ出すことができます。
- 原子の大きさ
- 金属か非金属か
- 化学反応にしやすさ
順番に見ていきます。
周期表からわかる:原子の大きさ
周期表からわかる、元素の原子の大きさのパターンとは以下です。
- テーブルを右に移動するほど、原子の半径は小さくなる
- テーブルを下に移動するほど、原子の半径は大きくなる
この理由は、価電子(一番外側にある電子)と下記の二つのコンセプトが鍵になります。
- 陽子の数が増えるほど、電子は原子核に引きつけられる
- 段数が増えるほど、電子は原子核に引き寄せられなくなる
まず、陽子の数が増えると原子核のプラス電荷が増えていくので、価電子はより強く原子核に引き寄せられます。
そして、この陽子の数が増えるというのは、テーブルを右に移動するときと同じですよね?
次に、段数が増えていくと、価電子よりも内側にある他の電子軌道の数が多くなるので、価電子の原子核への引き寄せが弱まっていきます。
そして、この段数が増えるというのは、テーブルを下に移動することを指すのです。
よって、周期表の右上にある元素が一番小さな原子で、下に左に進むにつれて大きくなっていくことがわかったかと思います。
正解はここをクリック
周期表からわかる:金属か非金属か
金属といえば、電気を通しやすい性質がありますよね。
その性質のためには、電子が自由に移動できなければいけません。
なので、価電子(一番外側にある電子)が原子核に弱く引き寄せられていれば、金属としての性質を持つことができるのです。
反対に、価電子が強く原子に引き寄せられていたら、非金属として分類されることになります。
「原子の大きさ」は、右上にいくほど、価電子がより強く原子核に引き寄せられていることがわかりましたね。
よって、右上の方にある元素は非金属、逆に左下方面にある元素は金属であることがわかります。
実際に、色分けされている周期表を見てみましょう。
すると、非金属が右上に水色と黄色で色分けされていますね。
このように、周期表からはどの元素が金属・非金属なのかを見極められる便利な機能も兼ね備えているのです。
周期表からわかる:化学反応にしやすさ
周期表からは、その元素がどれだけ化学反応がしやすいのかもわかりますよ。
ここでは、次の3つのグループの反応についてご紹介します。
- <グループ1(アルカリ金属)
- グループ17(ハロゲン)
- グループ18(ノーブルガス)
まず、グループ1の元素たち(アルカリ金属)は、とても反応しやすいです。
反応しやすい理由のは、電子軌道をみてみるとわかるのですが、価電子がぽつりと弱く原子核に引き寄せられているためです。
なので、簡単にその価電子を取り上げることができるので、爆発的な反応を起こすことができますよ。
次に、グループ17の元素たち(ハロゲン)は、グループ1とは違った意味で反応しやすいです。
なぜなら、電子軌道をみると、あと一つの電子があれば、軌道の上限いっぱいに達することができるからです。
なので、電子を与えてあげる反応ならば、ここでも爆発的な反応を起こすことができます。
正解はここをクリック
最後に、グループ18の元素たち(ノーブルガス)は、まったく反応を起こしません。
なぜなら、電子軌道が電子で上限ぴったりだからです。
なので、元素は安定した状態を保つために、電子を失うも増やすもせず、反応をしたいのです。
このように、グループごとに周期表を見れば、「電子を増やした時・減らした時どちらで反応しやすいのか」ということを読み解くこともできますよ。
まとめ:周期表はそれぞれの元素の特性を教えてくれる
このように、この記事では、周期表の見方や周期表からわかる特性について解説してきました。
少ない化学知識でもなんとなく理解ができたかと思います。
ですが、実際にはもっといろいろな特性や性質をこの周期表一つで見つけ出すことができます。
もっと知ってみたいと思った方も多いのではないでしょうか?
もし「一体だれがどうやってこんな凄い周期表を見つけたのか」に興味がありましたら、次の記事を読んでみてください。
また、「ダーウィンの進化論が間違っているかもしれない」ことはご存知でしたか?
次の記事を読めば、あなたなりに「人類の起源」について意見が持てるようになりますよ。
この記事が役に立ったのなら嬉しいです。
コメント