【5分でわかる】バイオ燃料の作り方と使い方【バイオマスの基本】

【5分でわかる】バイオ燃料の作り方と使い方【バイオマスの基本】科学の教養
悩みを抱えた男性

バイオ燃料を知りたい男性「再エネにも種類がたくさんありますが、バイオ燃料とは、どのようなエネルギー源なのでしょうか?詳しく教えてください」

そんな疑問に答えます。

バイオ燃料とは、生物由来の作物や廃棄物を原料とする燃料です。

石炭や石油、天然ガス等の代わりに火力発電で使えることから、注目が集まっている業界でもあります。

たとえば、エクソンモービルやロイヤル・ダッチ・シェルなどの石油・ガス業界の大手企業も、バイオ燃料業界への投資・研究を進めていますよ。

この記事では、そんなバイオ燃料について最低限知っておくべきことをご紹介していきます。

✔️本記事で学べること

  • バイオ燃料とは
  • バイオ燃料の作り方
  • バイオ燃料の使い方
  • バイオ燃料を作れる原材料

それでは見ていきましょう。

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バイオ燃料とは

試験管に入った藻類のバイオ燃料

バイオ燃料とは、生物由来の作物や廃棄物を原料とする燃料です。

作物でいうと、とうもろこしやサトウキビ、サラダ油などが挙げられますね。

そして、廃棄物には、生ゴミや下水汚泥、家畜の排せつ物などが一例です。

これらの原材料は、石炭や石油などの化石燃料のように枯渇することがありません。

なので、バイオ燃料は補充ができるため、再生可能エネルギーのひとつなのです。

そうして、さまざまな原料を元に、バイオエタノールやバイオディーゼルなどのバイオ燃料を作ることができますよ。

バイオ燃料の作り方については、次のセクションで説明します。

カーボンニュートラルとは

バイオ燃料はカーボンニュートラル(炭素中立)です。

カーボンニュートラルとは、排出する二酸化炭素の量が、吸収される二酸化炭素の量と同じであることを指します。

つまり、燃やした時に発生する二酸化炭素は、成長過程での光合成に使った二酸化炭素と同じであるとも言えますね。

二酸化炭素が一方的に増えてしまうと、温室効果を促進してしまうので、このバイオ燃料の性質は大きなメリットですよ。

こうした性質から、バイオ燃料は地球温暖化へのブレーキになるのではと、注目されているのです。

もし地球温暖化についてもっと知っておきたいのなら、次の記事は要チェックですよ。

バイオ燃料の作り方

とうもろこしの黄色いバイオ燃料

続いては、簡単にバイオ燃料がどのようにして作られているのかを、理解してみましょう。

ここでは、3つのバイオ燃料の作り方を説明します。

  1. 熱分解
  2. 発酵
  3. 精製

順番にみていきます。

熱分解

熱分解はバイオ原油を作るために利用されます。

ここでは、木質や藻類などのさまざまなバイオマスを高温で熱することで分解します。

厳密には、熱分解にも温度や環境によって異なります。

  • パイロリシス(Pyrolysis):
    500〜700度の無酸素の環境
  • ガス化(Gasification):
    700度以上の低酸素の環境
  • 水熱液化(Hydrothermal Liquefaction):
    200〜300度の高気圧の環境

使い分けは、「どのような材料があるのか」と「どのようなバイオ原油を作りたいのか」によって、変わってきますよ。

こうして熱分解によって、バイオ原油が作られているのです。

それぞれについて詳しく読みたい方は、こちら(英語)から。

発酵(ファーメンテーション)とは

二つの発酵用のタンク

発酵はバイオエタノールを作るために利用されます。

ここ使われる材料はとうもろこしやサトウキビなど、糖分(C6H12O6)を多く含む植物です。

発酵では、材料を糖化してできたシロップを、イースト(酵母菌)と一緒にタンクに入れて成長させていきます。

このタンクを酸素がない環境に放置しておくことで、イーストによって次のような反応が起こりますよ。

C6H12O6 -> 2 C2H5OH + 2 CO2

こうして発酵によって、バイオエタノール(C2H5OH)が作られているのです。

精製(リファイニング)

精製はグリーンディーゼルと作るために利用されます。

ここで使われるのは、アブラナやヤシ、藻類からとれる植物油や動物の脂肪、食用油などです。

ただ、原材料となる油はどれも、燃料として使うのに適さない形の場合が多くです。

なので、次のような過程を通して、目的に応じて精製していきます。

  • ハイドロクラッキング:長い分子を細かくする
  • 水素化:水素を分子に加える

そうすることで、グリーンディーゼルが完成するのです。

バイオ燃料の使い方

レース車に給油されるバイオ燃料

バイオ燃料は、そのまま発電所で燃やしたり、自動車に給油すれば良いのでしょうか?

火力発電においては、バイオ燃料だからといって、なにか特別なわけではありません。

ただ、自動車においては、ガソリンやディーゼルとのブレンドが必要になります。

ブレンドの割合は、ガソリンとエタノールが9:1の場合ならE10のように、ディーゼルとバイオディーゼルが同じ割合ならB10のように表記します。

車種によって、受け付けられるブレンドの割合が違うの難しいところですね。

ただ、バイオ燃料を活用できれば、経済的にも環境的にも良好になりますよ。

まとめ:これからのバイオ燃料

人参によって照らされるランプ

このように、この記事では、バイオ燃料とは、作り方、使い方を順番に説明してきました。

どんなものでバイオ燃料ができているのか、わかっていただけたかと思います。

たしかにアメリカのように国土が広いわけでもなく、日本でのバイオ燃料は現状限られています

ですが、ミドリムシなどの藻類をバイオ燃料用に安価で大量生産できるようになれば、短期間でも大きな変化が訪れるでしょう。

なので、ぜひバイオ燃料についてのニュースを見かけたときは気に留めて読んでみてください

この記事が役に立ったのなら、嬉しいです。

他にも、次世代の再エネとして注目される「水素エネルギー」に興味があるのなら、次の記事を読んでみてくださいね。

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