さっそく問題です!
靴 | 歯ブラシ | ストッキング |
ロープ | カーペット | レインコート |
人工芝 | カバンの生地 | スポーツ |
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一度は聞いたことがあるという方も多いのでは?
今回は、そんなナイロンを発明したアメリカの化学者 ウォーレス・カロザースをご紹介していきます。
化学知識がなくとも、この記事を通して、「カロザースとはどんな人物だったのか」や「ナイロンってどんなものなのか」を知ることができますよ。
それでは見ていきましょう。
ウォーレス・カロザースの生涯と業績
ウォーレス・ヒューム・カロザース(Wallace Hume Carothers)は非常に優秀な化学者でした。
研究にひたむきで、すべてを理解しようとする完璧主義的一面も持っていたのです。
また、カロザースは講師としてもかのハーバード大学からも評価されていて、彼の授業は整理されていて、面白くわかりやすい授業だったそうです。
そんな彼の実力が買われて、彼は有機化学部門のリーダーとしてデュポン(DuPont)の研究所で働き始めました。
ここではデュポンでのカロザースの有名な業績をまとめていきます。
- ネオプレン(クロロプレンゴム)とは
- ナイロン(ポリアミド)
順番に見ていきます。
ネオプレン(クロロプレンゴム)の発明
カロザースの大きな熱意は高分子科学に傾いていました。
高分子とは、これらはある一定の構成単位(単量体)が繰り返されている化合物になります。
高分子には、大まかに次の二つの種類があります。
- 天然高分子
→ 自然界から得られる - 合成高分子
→ 研究所などで人工的に作成する
そこでカロザースは、単量子であるクロロプレンを繋げていく(重合させる)ことで、クロロプレンゴム又の名をネオプレンを発見したのです。
これは合成ゴムの一種で、ゴムの木から採取できる天然ゴムよりも性質的に優れていました。
特に気候の変化や油・炎に強い特徴がネオプレンの優位性になります。
たとえば、密閉に使われるOリングやウェットスーツ、接着剤などの原料にもなっていますよ。
ナイロン(ポリアミド)の発明
もちろんネオプレンも有名なのですが、カロザースが知られる一番の理由はナイロンの研究によるものです。
カロザースは、縮合重合という重合やカロザースの方程式なるものを用いて高分子科学への深い理解を示しました。
ここで彼が研究を通して求めていたのは、より長い高分子を作成することだったのです。
そうした結果、世界初の化学繊維なるナイロン(ポリアミド)にカロザースはたどり着いたのでした。
化学繊維というだけあって、伸縮性もあるので衣類などに多く使われていますよね。
この記事の最初にあげた用途をまたご紹介しておきましょう。
靴 | 歯ブラシ | ストッキング |
ロープ | カーペット | レインコート |
人工芝 | カバンの生地 | スポーツ |
このように、カロザースは高分子科学において数々の業績を残していったのです。
カロザースのその後
しかし、この順調に見えるカロザースの人生ですが、実はデュポンに入社する以前からカロザースはうつ病を患っていました。
カロザースのうつ病はデュポンからの支援もありながらも深刻化していったのです。
そして、1937年、カロザースの妹が死んだことをきっかけに、カロザースは41歳という若さで自殺してしまいました。
また、その方法は毒物として知られる青酸カリを飲み物に混ぜて死んだそうです。
化学者自身が化学を使って自分の命を奪うというのは、どこか悲しいですよね。
化学繊維の基礎知識を知っておく
今回は「化学繊維の父」とも呼ばれれカロザースのご紹介でしたが、他の化学繊維についてはご存知ですか?
ここでは、三大合成繊維とも呼ばれる次の3つの化学繊維の性質や用例を比較していきます。
- ナイロン
- ポリエステル
- アクリル
こうした知識は衣服を買う時、着る時、洗う時、さまざまな場面で生きてくるかもしれませんよ。
それでは順番に見ていきましょう。
ナイロン
ここではナイロンを繊維としての性質にフォーカスしながらご紹介します。
ナイロンの主な特徴は以下になります。
- 絹(シルク)のように肌触りが滑らか
- 伸縮性は高いが、強度はそれほど高くない
- 薬品や海水、害虫などへの耐性がある
- 熱への耐性が低い
- 静電気が起こりやすい
性質を理解するなら、ストッキングがイメージしやすいでしょう。
滑らかさや伸縮性はもちろん、強度など理解できる点が多いかと思います。
ですが、実際にはナイロンを他の化学繊維などと組み合わせて使うので、短所が大きく目立つということは少ないかもしれませんね。
ポリエステル
ポリエステルの主な特徴は下記になります。
- 木綿(コットン)のようにコシがある
- 吸水性が高く、シワができにくい
- 薬品や海水、害虫などへの耐性がある
- 熱への耐性が低い
- 静電気が起こりやすい
いつも着るTシャツなんかの材料をチェックしてみると、ポリエステルと綿を組み合わせて使われることが多いです。
他にもリュックサックやジャケット、スポーツウェアなどをチェックしてみるとポリエステルが使われているかと思います。
ちなみに、ナイロンと似た特徴も多いのは、化学繊維であるがゆえです。
また、どちらも耐熱性が低いので、アイロンをかけると変形してしまうので気をつけましょうね。
アクリル
最後に、アクリルには次のような特徴があります。
- 羊毛(ウール)のようにふっくらとしている
- 吸湿性が低く、毛玉ができやすい
- 薬品や海水、害虫などへの耐性がある
- 熱への耐性が低い
- 静電気が起こりやすい
アクリルはウールの代替として、セーターやマフラーなどのニット製品に使われることが多いです。
こうして比べてみると、天然繊維である絹・木綿・羊毛と比べられてわかりやすいですよね。
化学繊維は天然繊維に比べて、安価で丈夫なので良く使われている理由もわかったかと思います。
まとめ:日常の化学の裏には研究者の苦悩があった
このように、この記事では化学繊維の父「ウォーレス・カロザース」とちょっとした化学繊維の比較をご紹介しました。
私たちが当たり前に着ている多くの衣類の歴史に、偉大な化学者の死があったとは知らなかったのでは?
今度、服や商品のタグを確認してナイロンを見つけたらカロザースのことを思い出してあげてくださいね。
下記の2つの英語論文は私が参考にしたものです。
カロザースについて興味があれば、調べてみると新しい学びになりますよ。
- 『Wallace Hume Carothers』 By Roger Adams (1939)
- 『Management of Technology and Operations』 By R. Ray Gehani (1998)
もしもっと他の化学を楽しく学びたいのなら、周期表にまつわる偉人「メンデレーエフ」がたいへん興味深いですよ。
少しでも興味があるのなら、ぜひ読んでみてくださいね。
また、「ダーウィンの進化論が間違っているかもしれない」ことはご存知でしたか?
「どうして?何なら正しいの?」と気になるのなら、次の記事を読めばあなただけの意見が持てるはずです。
この記事が少しでも為になった・面白かったと感じたのなら嬉しいです。
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