再エネに興味がある男性「水素エネルギーとよく耳にするのですが、いまいち理解していません。水素がいったい、どう作られて、どう使われているのか、など詳しく知りたいです」
そんな悩みを解消します。
温暖化問題を食い止めるため、二酸化炭素のネット排出量ゼロに向けて、世界中が動きはじめています。
2020年7月8日には、欧州連合(EU)が「水素戦略」を公表したこともニュースになっていましたね。
ただ、なんとなくでしか水素エネルギーを、理解できていない人も多いです。
この記事では、水素エネルギーの知っておいてもらいた基礎知識を説明していきます。
- 水素エネルギーの仕組み
- 水素エネルギーの活用例
- 水素エネルギーが環境に優しいわけ
それでは見ていきましょう。
水素エネルギーの仕組み
水素エネルギーとは、化石燃料や太陽光、風力などの代わりに、水素(H2)を元につくるエネルギーです。
その水素は、水(H2O)を初めとして、さまざま物質に含まれています。
では、そんな水素が、どのように私たちの知るエネルギーに形を変えるのでしょうか?
水素をエネルギーに変換する仕組み
この仕組みには、おもに二つあります。
- 水素を燃やして、熱エネルギーを得る
- 燃料電池を用いて、電気エネルギーを得る
まず、一つ目の方法では、石油や石炭のように、水素を空気中で燃やします。
発生した熱を利用して、液体を気体に沸騰させることで、さらに動力エネルギーに変換していくこともできますよ。
次に、二つ目の方法では、燃料電池の活用します。
燃料電池では、一つの電極の水素ともう一方の空気中の酸素(O2)を反応させることで、電気を発生させています。
どちらの方法でも、鍵になってくるのが下記の化学式です。
化学式が難しいと感じるかもしれませんね。
ただ、ここでは押さえておいてほしいのは、どちら仕組みでも二酸化炭素(CO2)ではなく、水(H2O)を発生させていることです。
なので、水素エネルギーは脱炭素にも応用できる仕組みであることがわかったかと思います。
ちなみに、二つの仕組み以外にも、水素の核融合による莫大なエネルギーを生む方法もあります。
期待値は大きいですが、核融合の実用化までにはまだまだ時間がかかりそうです。
このように、水素は酸素と反応しながら、熱や電気エネルギーを発生させることができますよ。
水素エネルギーが気になる女性「なんとなく水素がエネルギーになる仕組みは理解しました。では、その水素はどこから来ているのですか?」
水素を作りだす仕組み
ここでは、エネルギー源となる水素が作られる仕組みをみていきましょう。
水素をつくる仕組みにも、いくつか種類があります。
ですが、現在、生産されている 95%以上の水素は『水蒸気メタン改質』という方法で作られています。
この方法では、天然ガスの一種であるメタン(CH4)と水を高温で反応させることによって、水素を作成するものです。
ここで気がつくのが、化石燃料のひとつである、天然ガスが使われていることです。
他にも、水素をつくる仕組みはありますが、どれも石炭や火力発電を必要する仕組みが多いのです。
なので、現状の水素をつくる仕組みは、脱炭素から程遠いものになっています。
ですが、再生可能エネルギーを活用することで、脱炭素でもある水素生産は可能です。
たとえば、次のような方法があります。
- 風力や太陽光で発電した電力を水の電気分解
- バイオマスから生産したメタンガスの水蒸気改質
ただ、コストがかかりすぎるので、まだ水素の生産を脱炭素するのは大変難しいでしょう。
このように、水素を作りだす仕組みについては、これからの発展が期待されますね。
もし水素をつくる仕組みをくわしく知りたいなら、『第6章 水素エネルギー技術』を読んでみてください。
水素エネルギーの活用例
水素エネルギーの仕組みが、エネルギーへの変換から水素の作り方まで、わかったかと思います。
続いては、水素エネルギーの活用法についてご紹介します。
ここでは、次の二つの活用例を見てみましょう。
- 水素発電
- 燃料電池車(FCV)
順番に説明していきます。
水素発電とは
水素発電では、水素エネルギーの仕組みでご紹介した「水素を燃やして、熱エネルギーを得る」を活用します。
つまり、火力発電所の石炭や石油を燃やす代わりに、水素を燃やしていくことになります。
他にも、天然ガスと混ぜ合わせたものを燃やすこともできますね。
そこで発生した熱で、水蒸気を発生させることで、タービンを回していく。
そうして、水素を活用して、発電していきます。
ちなみに、水素発電では、二酸化炭素が発生することはありません。
よって地球温暖化の懸念も少ないですし、化学燃料の枯渇も問題にもなりませんよ。
ただ、空気を高温で熱しているため、窒素酸化物(NOx)という有害物質は発生します。
ですので、全面的に環境に良いかというと、なかなか難しいですね。
燃料電池車(FCV)とは
燃料電池車(FCV)は、水素で走る自動車になります。
基本的には、燃料電池によって水素を電気に変えていきます。
そして、その電気で電気自動車(EV)のように走ることになります。
メリットとしては、二酸化炭素はもちろん、窒素酸化物や硫黄酸化物などの有害物質を排出しないことが挙げられます。
ただ、ガソリン車に比べて、コストも高く、水素ステーションがまだまだ設備されていないのが、デメリットになります。
実際、電気自動車のように家庭で充電できるわけでもないので、燃料電池車は実用性に関しては見劣りしてしまいますよね。
まとめ:これからの水素エネルギー
このように、この記事では、水素エネルギーの仕組みや活用例について、解説してきました。
環境に良いという点において、非常に秀でていることがわかったかと思います。
そして、水素をつくるコストが課題になっていることを理解していただけたでしょう。
ですが、着実に技術は発展しているので、水素エネルギーが次世代のエネルギー源になることも、そう遠くないかもしれません。
この記事を通して、水素エネルギーに興味を持ってもらえたのなら嬉しいです。
また、教養として、わたしたちの身近な科学の歴史を知りたいという方には、次の記事がおすすめです。
当たり前を作った、偉人たちを知ることが、新しい発見に繋がる足掛かりになるかもしれません。
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