ワクチンに興味がある男性「パスツールという科学者がワクチン開発に大きな貢献をしたらしい。それが、どのようなワクチンだったのか詳しく知りたいです」
そんな疑問にお答えします。
- パスツールが開発したワクチンとは
- 現代の3種類のワクチン
実際「ワクチン」という言葉は良く耳にしますね。
インフルエンザの予防接種は毎年恒例です。
また、新型コロナ(covid-19)が流行している今、「新しいワクチンが効果的だった/効果的でなかった」と注目されています。
ですが、そんなワクチンはどのようにして今の形になったのでしょうか?
そこでキーマンになってくる、フランスの化学者ルイ・パスツールに焦点を置きながら、ワクチンについて観ていきましょう。
それでは解説していきますよ。
パスツールのワクチン開発について
ここでは、ルイ・パスツール(Louis Pasteur)がどのようにしてワクチンの開発に貢献したのか、ご紹介します。
- パスツール以前の予防法とは
- パスツールが開発したワクチンとは
順番に説明していきます。
パスツール以前の予防法とは
パスツール以前の感染症の予防法についてご紹介していきます。
ワクチンができる前までは、感染症への免疫をあげる手立てとして、すでに感染している人から抽出した液を健康な人間に摂取する方法がありました。
ただ、なんとなくわかるように大きな副作用として、実際に感染症にかかってしまうケースが非常に高かったのです。
そんな中、イギリスの医学者エドワード・ジェンナー(Edward Jenner)は世界初のワクチンを開発しました。
彼は天然痘に対するワクチンを、牛痘から作ったのです。
牛痘とは、天然痘に比べて死亡率が低く、牛痘のワクチンを摂取することで、天然痘への免疫力を持つことができるようになりました。
ただ、これは天然痘において効果的であっただけで、ほかの感染症にも応用できるかと言うと、難しいのが現実だったのです。
このように、パスツール以前のワクチンは、どうも使い勝手の悪そう印象を受けたかもしれませんね。
パスツールが開発したワクチンとは
そんな免疫学界に、化学者のパスツールが新しい風を吹き込みました。
パスツールが最初に開発したワクチンは、鳥に被害が大きかった家禽コレラという感染症に対するものです。
1878年、パスツールは家禽コレラを引き起こす細菌(Pasteurella multocida)の培養に成功し、そして老化した細菌の感染力が弱っていることに気がつきました。
そして、そんな老化して弱った細菌をワクチンとして投与することで、家禽たちの免疫力をあげることに成功しました。
ちなみに、これはパスツールによる大きな発見になります。
なぜなら、感染症の原因となる細菌を見つけて、どうにか弱らせることができれば、ワクチンとして機能する可能性が見出せたためです。
続いて、パスツールはウシやウマに感染が広がった炭疽(たんそ)のワクチン開発に成功します。
ここで、1881年に炭疽菌の感染力が弱まる条件(温度や期間など)を見つけ出したのです。
また、炭疽菌を化学反応や動物(ネズミ)に接種させるなど、パスツールは細菌を弱らせる方法を研究していきました。
その後も、豚丹毒(とんたんどく)のワクチン開発にも成功していますね。
ですが、やはり有名なのは、1885年に成し遂げられた狂犬病のワクチンの開発ではないでしょうか?
【狂犬病に負けるな】パスツール最後のワクチンとは
狂犬病というと、今の医療技術でもかかったら最後と言われる病気ですよね。
狂犬病がこれまでの3つの細菌と全く違う点は、細菌ではなくウイルスである点です。
もちろんパスツールの時代は、ようやく細菌がわかった段階でも、ウイルスを確認する科学もありません。
なので、これまでの方法を活用することができなかったのです。
そこで、パスツールはウサギの脊髄を介して、狂犬病ウイルスを不活性化することに成功しました。
こうしてパスツールは、感染症に対するワクチン開発の基礎を作り上げたのです。
まとめ:パスツールとワクチン開発
このように、パスツールに焦点をおきながら、ワクチン開発の歴史についてご紹介しました。
- 家禽コレラ
- 炭疽
- 豚丹毒
- 狂犬病
こうしてみると、パスツールは凄いですよね。
しかし、パスツールはワクチン以外にも偉業があることをご存知ですか?
もし彼について興味を持ったのなら、ぜひ次の記事を読んでみてください。
なぜパスツールが「近代細菌学の開祖」と呼ばれているのかがわかるかもしれませんよ。
知っておきたい3種類のワクチン
パスツールが開発したワクチンについて学べましたが、ワクチンについてもう少し知りたくないですか?
たとえば、一口にワクチンと言っても、たくさんの種類がありますよ。
- 生ワクチン
例)結核、はしか、おたふく風邪など - 不活化ワクチン
例)狂犬病、A型肝炎、インフルエンザなど - トキソイド
例)ジフテリア、破傷風など
生ワクチンは、生きたまま細菌やウイルスを弱らせています。
生きている分、副作用の危険はありますが、免疫効果の持続時間が長いようです。
対して、不活化ワクチンは、免疫をつくるのに必要な成分のみを残したものになります。
なので、副作用の危険性が低いメリットはありますが、その分免疫効果も薄めだそう。
最後に、トキソイドは、細菌やウイルスの毒素を抜いています。
これも不活化ワクチンのように、危険性が低い分、免疫効果も薄めです。
もしかしたら DNAワクチン(遺伝子ワクチン)を聞いたことがありませんか?
まだ開発研究が行われている段階ですが、DNAワクチンは速く大量生産ができるメリットがあります。
新型コロナ(covid-19)のワクチンとしても注目されているので、もしニュースで見かけたら、ぜひ注意して見てみてくださいね。
まとめ:ワクチンは研究の賜物である
このように、この記事ではパスツールをはじめとしたワクチンの開発についてご紹介しました。
パスツールのような研究者によって、私たちが昔ほど感染症に大きな不安を感じずに過ごせるのは、素晴らしいことですよね。
新型コロナに関しても、誰もがウイルスが原因であるとわかっていますからね。
確かに、新型コロナへの不安は募りますが、研究者が必ずワクチンを開発してくれることを信じて、感染を広げないように努める大切さがわかったかと思います。
ちなみに、もしパスツールやワクチン開発の歴史に興味があれば、わたしが参考にしたサイトや論文を読んでみてください。
- 『 History of vaccination 』S.プロトキン
- 『 Louis Pasteur, the Father of Immunology? 』K.A.スミス
- 『 Louis Pasteur – Vaccine development 』ブリタニカ百科事典
- 『 Louis Pasteur, from crystals of life to vaccination 』P.ベルチェ
どれも英語ですが、無料で読めるのでオススメですよ。
もしパスツールの他の業績に興味があれば、次の記事から読んでみてくださいね。
ワクチン開発に止まらない、彼のさまざまな発見を知ることができます。
この記事が役に立ったのなら、嬉しいです。
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