子供の教育に関心があるママさん「子供の教育がこれからどう変えていくのか知りたい。ラーニングアナリティクスについて、わかりやすく説明して欲しい」
今日はこんな疑問に答えます。
この記事では、次の3つを順番に解説していきますよ。
この記事を読めば、これから子供教育の変化にも備えておくことができるはず。
情報を政府や学校まかせにせず、保護者のあなたがしっかりと子供の教育について学んでいきましょう。
ラーニングアナリティクス(LA)とは何か
ラーニングアナリティクス(Learning Analytics: LA)を、森本 康彦1の論文を元に5つのステップにまとめました。
- eポートフォリオを作成する
- 教育データを蓄積する
- 目的に応じて分析する
- 分析結果を可視化する
- 学習状況に反映する
順にみていきましょう。
① eポートフォリオを作成する
eポートフォリオとは、子供の教育情報をまとめたデジタル書類になります。
なので、最初のステップは、「eポートフォリオにどのような情報を含めていくのか?」が焦点です。
これまでは、試験結果と授業態度、部活動などの教育情報が重要視されていましたよね?
ですが、これからはeポートフォリオという形で、さまざまなデータを集めていくことができるのです。
教育データは、つぎの2つに分類されます1。
- 学習履歴:
学習行動、ICT機器操作の履歴、テストや問題の結果、など - 学習記録
レポートやプレゼンでの成果、授業風景、自己評価や相互評価など
このように数が増えたのは、タブレットやインターネットの普及によって、子供の学習状況が把握しやすくなった影響でしょう。
eポートフォリオは、ラーニングアナリティクスだけのためではなく、これからの子供たちのより総合的な評価への貢献も期待されていますよ。
② 教育データを蓄積する
次に、eポートフォリオを学校レベル、または地域や国レベルの大きさで集めていきます。
これまでは教育データも学校ごとなどと分かれていましたが、これからはより教育界のビッグデータの利用が可能になるのです。
教育のICT化のおかげで、ラーニングアナリティクスが伸び始めている訳が分かりますよね。
もし教育のICT化についてもっと知りたいと思っているのなら、次の記事がおすすめですよ。
③ 目的に応じて分析する
ここでようやく集めたデータを元にアナライズ(分析)をしていきます。
「どのような教育プランがベストのか」という疑問に、全国レベルから個人レベルで分析していくことができるのです。
たとえば、全国レベルだと、全国の学校に対して、どのような教育カリキュラムや学校経営がいいのかを分析していきます。
また、個人の規模では、あなたの息子は〇〇をした方が成績が伸びるなどと予測したりするです。
④ 分析結果を可視化する
そうして、教育関係者たちに分析結果を報告します。
たとえば、全国規模の分析なら、政府や文部科学省への報告になります。
また、個人における分析なら、息子本人や保護者、担任の教師などへ分かりやすい形で報告されるのです。
⑤ 学習状況に反映する
最後に、報告を受けた関係者たちは、どのように報告を学習に反映していくのかを審議します。
もちろん大きいレベルならば会議になりますし、個人の場合は三者面談などという形になるでしょう。
このように、ラーニングアナリティクスでは、この5つのプロセスを繰り返していくことで、より良い教育を模索していくことになります。
ラーニングアナリティクスにはどんな可能性があるのか
ラーニングアナリティクスをうまく活用することで、より良い教育を追求していくことができます。
次の4つはラーニングアナリティクスによって期待される可能性です1。
- 「どこまでを理解しているのか」がわかる
- 「この先の現実的な伸びしろ」がわかる
- 隠された問題を発見する
- 「どうしたら伸びるのか」が分析できる
こうした分析によって、学習者はどう勉強していけば目的が達成できるのかが明確になっていくことが期待できます。
すると、例えば「〇〇をしたら成績が10点アップする」なんてこともわかるようになるかもしれませんね。
また、そこまで分析はできなくても、生徒同士の比較によって、「成績トップ10%は△△をしている」などがわかるのは遠くない未来でしょう。
こうした考え方は、教育とエビデンスについての記事に共通する部分があります。
どんな子育てが科学的に証明されているのか興味がある方は、次の記事を読んでみてください。
ラーニングアナリティクスに残る課題とは
ラーニングアナリティクスにはまだ下記の3つの課題が残っています1,2。
- 匿名化が必要になる
- 学習者の学びに還元できていない
- 標準的な評価方法がない
匿名化が必要になる
個人情報として扱う場合に、本人の同意が不可欠です。
なので、結果的に匿名化が必要になるため、個人をターゲットとして分析が行えないのが現状になります。
学習者の学びに還元できていない
ラーニングアナリティクスについての研究や実験は進んでいても、子どもたち当事者は効果を実感できていません。
なので、これから実際にラーニングアナリティクスを使って教育に反映させていくことが重要になってきます。
標準的な評価方法がない
最後に、アンケートや自己評価などをうまく扱えていない問題があります。
これは、個人の感覚や表現によって異なるので、学習記録の比較が困難なのです。
ただ、近年では、テキストマイニングという技術が進歩しています。
この技術では、アンケートなどで「どんな言葉が頻繁に使われているのか」を分析することが可能なので、この問題の解決も少しずつ進んでいくでしょう3。
まとめ:ラーニングアナリティクスを知ったことで
このように、ラーニングアナリティクスは、教育のICT化の先にある、これからの教育の形を示してくれています。
教育でのビッグデータの活用からわかる「どうしたら学習者が目的を達成できるのか」という分析への期待が高まります。
まだ問題点も多いですが、ラーニングアナリティクスについての研究論文は、家庭教育でも役に立てられるかもしれませんね。
もしこの記事が少しでも役にたったなら嬉しいです。
ちなみに、この記事では、以下の3つの論文を参考にしています。
ラーニングアナリティクスについての具体的な事例や研究を知りたい方は、ぜひ読んでみてください。
どれも読みやすく、無料で公開されているので、読んでおいて損はありませんよ。
また、無料で学べる教育サイトに興味があるのなら、次の記事を読んでみてくださいね。
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