- 原油の値段ってどう決まるの?
- WTI以外にもベンチマークがあるの?
- 原油指標ってなんで大切なの?
こんな疑問にお答えします。
原油(Crude Oil)をもとに、ガソリンだけなく、潤滑油やアスファルト、プラスチックまで、さまざまな石油素材ができています。
だからこそ、原油価格は社会・経済に大きな影響を与えられます。
この記事では、「原油価格のもととなる指標(ベンチーマーク)」についてご紹介します。
- 原油価格の3大指標とは
- 地域ごとの原油の特徴
- なぜ原油価格の指標が大切なのか?
さっそく見ていきましょう。
原油価格の3大指標とは
原油価格は、原油の種類や特徴によって左右します。
なので、原油価格の指標にも、地域ごとに三つの代表的なベンチマークがあるのです。
世界の原油価格の3大指標(ベンチマーク)は、次になります。
- West Texas Intermediate (WTI):アメリカ産
- North Sea Brent Crude:ヨーロッパ産
- Dubai Crude:中東産(ドバイ産・オマーン産)
ここでは、それぞれの原油指標および特色について、簡単にご紹介していきます。
WTI Crude (アメリカ)
WTI Crude は、アメリカとカナダでの石油取引に使用される指標です。
そして、この原油の特色は、低硫黄(スイート)かつ 軽質油(ライト)であることです。
「低硫黄・軽質油」といわれても、ピンと来ませんよね。
低硫黄・軽質油な原油は、製油所において硫黄の抽出・除去にかかるコストを削減できます。
そして、この硫黄の除去は必要な工程です。
硫黄が残ったままで、ガソリンやディーゼル燃料、ジェット燃料などを燃焼すると、金属部品の腐食などを引き起こしてしまうのです(参考記事)。
こういった事情もあり、石油燃料を多く生産する製油所は、スイートな軽質油を好みます。
Brent Crude (ヨーロッパ)
Brent Crude(ブレント原油)は、北海で採れるヨーロッパ産の原油のベンチーマークです。
こちらも、WTI Crude と同じく、低硫黄(スイート)かつ 軽質油(ライト)です。
なので、WTI とブレント原油の性質は似ています。
ただ、シェール革命以降のアメリカの原油生産が増えた影響で、WTI の方が割安で取引されています(引用元)。
Dubai Crude (ドバイ・オマーン)
最後に、Dubai Crude(ドバイ原油)は、ドバイやオマーンをはじめとした、中東で採れる原油のベンチマークです。
これらの原油は、とくにアジア圏に輸出されている原油になります。
ドバイ原油は、高硫黄(サワー)かつ重質油(ヘビー)という特徴があります。
高硫黄であるため、硫黄を除去するコストは上がってしまいます。
ただ、サワーであるがゆえに、比較的に価格が安いことが大きな魅力です。
なので、より高い技術・高い効率のある製油所なら、ドバイ原油を使うことで、より収益率を上げられるのです。
なぜ原油価格の指標が大切なのか?
世界には、200種類を超える原油があるとされています(引用元)。
そして、それらの値付けの基準になるのが、原油指標(ベンチマーク)です。
結果、これら3大原油指標は、原油を安定的に取引するマーケットに欠かせないのです。
また、これらの原油指標も、日々の取引における需給を反映する形で値段が決まっています。
ちなみに、国際的に原油マーケットの価格に影響力がとくに大きいのが、取引量や市場参加者の多い WTI になります(引用元)。
【まとめ】原油価格のベンチマークを駆使して
この記事では、国際的に有名な3大原油指標(ベンチマーク)を紹介してきました。
冒頭で紹介したように、原油価格は経済への影響もあります。
ただ、もちろんですが、一つの指標だけでは読み取れないことも多いです。
だからこそ、それぞれの原油の違いや特色を踏まえてみましょう。
その視点を持って、原油の供給動向を見てみると、また違った景色が見えるかもしれませんね。
この記事が少しでも役に立ったのなら幸いです。
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