「SAF(サフ)」とは?航空業界の脱炭素化を支える新燃料の全貌

「SAF(サフ)」とは?航空業界の脱炭素化を支える新燃料の全貌科学の教養
悩みを抱えた男性
  • 『SAF(サフ)』ってなに?
  • SAF(サフ)の魅力って?
  • SAF(サフ)の今後の課題は?

こんな疑問にお答えします。

近年、サステイナビリティの観点が重要視されています。

さまざまな業界にて「CO2排出を実質ゼロにする」ことが目標です。

そして、航空業界におけるジェット燃料の脱炭素化を一翼を担うのが、『SAF(サフ)』になります。

『SAF(サフ)』の利点や欠点、これからの展望や業界の動きなど、技術の話も含めながらご紹介していきます。

✔ 本記事の内容

  • 『SAF(サフ)』とは?
  • 一般的なジェット燃料との違い
  • 「SAF(サフ)」脱炭素のカラクリ
  • 「SAF(サフ)」の魅力と課題
  • 「SAF(サフ)」導入のタイムリミット

さっそく見ていきましょう。

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『SAF(サフ)』とは?

バイオジェットで飛ぶ飛行機

SAF(サフ)とは、Sustainable Aviation Fuel の略称。

直訳すれば、「持続可能なジェット燃料」です。

それでは、詳しく見ていきましょう。

一般的なジェット燃料と「SAF(サフ)」の違い

まずは、一般的なジェット燃料の特徴を見てみましょう。

  • 石油由来でできている
  • 灯油に似た「ケロシン(Kerosene)」が主成分
  • 二酸化炭素(CO2)を多く排出する

対して、「SAF(サフ)」の特徴は以下になります。

「SAF(サフ)」 脱炭素化のカラクリ

「SAF(サフ)を燃やしても CO2 が出ないのか?」

実は、そういうわけではありません。

脱炭素となるのは、原料となる植物が光合成によって、大気中の二酸化炭素を吸収していたからです。

つまり、ライフサイクル全体を総合的に見た際に、二酸化炭素の排出が抑えているのです。

ただ、こう聞くと大したことをしていないようにも感じます。

ですが、想像してみてください。

  • あなたが捨てたあのゴミが……
  • あなたが使い終わったあの食用油が……

飛行機を飛ばすジェット燃料になっているのです!

ワクワクしませんか?

「SAF(サフ)」 の魅力と課題

緑の地球を背に飛んでいく飛行機

ここでは、「SAF(サフ)」の魅力や課題を見ていきましょう。

「SAF(サフ)」5つの魅力・メリット

なんと言っても、「脱炭素化ができる」ことが SAF の魅力です。

ですが、航空業界の期待の星である理由は、ほかにもあります。

  • 脱炭素化のチカラ
    二酸化炭素排出量を大幅に削減できる
  • 廃棄物を減らせられる
    すでに捨てられているものを燃料に変えられる
  • 既存のインフラと互換性
    すでにある航空機や燃料インフラとの互換性がある
  • 日本でも国産燃料が作れる
    エネルギーの自給率の観点から国内生産が可能なことも魅力です
  • さまざまな廃棄物を利用可能
    バイオ油、廃油、プラスチック、獣脂など、さまざまな原料を活用できる

「SAF(サフ)」3つの課題・デメリット

緑と石油社会が導く世界

わかりやすい高価格というコスト面での課題以外にも、まだ課題は残っています。

  • とにかく高い
    現行のジェット燃料の2倍以上のコストがかかります
    原料の値段だけでなく、製造コストが高いのも原因です
  • 製造技術や生産能力がまだ発展途上
    いま世界が求めても、需要を満たせるだけの供給がありません
    製造技術や生産能力が発達していくにも、ゆっくりと時間がかかります
  • 安定的な原料確保が難しい
    廃食油や廃棄物を原料にするため、常に安定した原料供給が厳しいです
    また、限られた原料の取り合いにもなります

「SAF(サフ)」導入のタイムリミットは?

「SAF(サフ)」導入のタイムリミット

2022年、国際民間航空機関(ICAO)によって、国際航空分野の2050年カーボンニュートラルが採択されました。

なので、皆さんの知る大手航空会社にとってのタイムリミットが 2050年です。

  • ANA(全日本空輸)
  • JAL(日本航空)
  • カタール航空
  • シンガポール航空

ですが、着実に世界では、SAF(サフ)導入に向けた歩みが進んでいます。

というのも、値段が高いのは事実ですが、現行のジェット燃料と一緒に混ぜて使うこともできるのです。

【まとめ】「SAF(サフ)」 のこれから

バイオ燃料精製に携わるエンジニア

多くの航空会社のカーボンニュートラル(脱炭素化)において、カギになっているのは「SAF(サフ)」です。

そして、需要はどんどんと高まっていく中、重要なのは「継続的な供給ができるか」です。

これからの技術力と生産力の発展が、供給を押し上げます。

そして、供給が増えることで、値段も下がっていくのです。

ぜひニュースで「SAF(サフ)」を見かけた際は、ちょっと注目して読んでみてください。

この記事が役に立ったのなら、嬉しいです。

他にも、バイオ燃料について、より詳しく紹介した記事もあります。

また、地球温暖化について詳しく解説している記事もあるので、ぜひ読んでみてください。

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