【化学初心者でもわかる】モーズリーの法則が導いた周期表の改革とは

【化学初心者でもわかる】モーズリーの法則が導いた周期表の改革とは科学の教養

前回は、周期表が有能さやその発見の歴史を学んでいきましたね。

ドミトリ・メンデレーエフが夢に見た元素の配列パターンから画期的な周期表が発案されたとお話しました。

ですが、もう一人、今の周期表に欠かせない重要な業績を残した科学者がいます。

その人物こそが、今回ご紹介していくイギリスの物理学者『ヘンリー・モーズリー(Henry Moseley)』です。

✔️本記事で学べること

  • ヘンリー・モーズリーがどのように周期表を変えたのか
  • モーズリーがノーベル賞受賞に至らなかった訳
  • 英語で楽しく覚えられる周期表の歌とは

この記事では、モーズリーの人生を追って、「周期表がどう変わっていったのか」をご紹介してきます。

化学式や化学反応で苦手意識を持っている方にもためになる、知って楽しい化学の教養を学んでいきましょう。

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モーズリーが与えた周期表の大変革

英語表記の周期表【最新】

メンデレーエフの周期表は便利なものでしたが、次のような問題がありました。

  • 一部矛盾の生じる原子の並びがあった
  • なぜ原子量の順番なのかがわからなかった/li>
  • そこでヘンリー・モーズリーは、科学理論に基づいて、メンデレーエフの周期表を説明することに成功するのです。

    その理論はモーズリーの法則と呼ばれ、元素の特殊X線の周波数と元素番号とが、次のグラフのように比例関係にあるというものでした。

    そんなモーズリーの法則を活用することで、モーズリーは周期表が原子番号順であることを解明したのです。

    その結果、従来の周期表の矛盾を取り除くことに成功しました。

    さらに、モーズリーは元素番号で並べることによって、今だに発見されていない新元素7つを明らかにしたのです。

    以下の7つがそんな新元素に当たります。

    • 1917年:プロトアクチニウム(Pa)
    • 1923年:ハフニウム(Hf)
    • 1925年:レニウム(Re)
    • 1937年:テクニチウム(Tc)
    • 1939年:フランシウム(Fr)
    • 1940年:アスタチン(At)
    • 1945年:プロメチウム(Pm)

    これらの発見において、モーズリーの法則のおかげで、新元素かどうかが簡単に判断できるようになったのは大きな変化ですね。

    このように、ヘンリー・モーズリーは以下の3つを成し遂げました。

    • 元素番号での周期表の並べ直し
    • X線を用いた元素を判別できる法則の発見
    • 新元素の存在を予測・判断できるようになる

    もしモーズリーの発見の背景にある物理を詳しく知りたいのなら、『FNの高校物理』が役に立ちます。

    >>『モーズリーの法則(1914年)と周期律における原子番号』

    ヘンリー・モーズリーの生涯とは

    灯りを頼りに何かを探す男性

    ヘンリー・モーズリーの発見は、ノーベル賞の受賞も確実だとまで言われていました。

    しかし、今ノーベル賞受賞者のリストを見てみても彼の名前はありません。

    「それはなぜか?」その理由を知るために、モーズリーの人生をさらっと覗いてみましょう。

    発見までのモーズリーの人生

    ヘンリー・モーズリーは、1887年、イギリスのウェルマスに生まれます。

    オックスフォード大学を卒業した彼は、マンチェスター大学で1908年にノーベル化学賞を受賞することになるアーネスト・ラザフォードの助手として働くことになります。

    その後、独立したモーズリーは、X線を用いた実験・研究に打ち込みます。

    結果、モーズリーは25歳ながら、ノーベル受賞レベルの功績をあげたのでした。

    順風満帆のように思えた彼の人生でしたが、ここで転機が訪れます。

    モーズリーの法則の発見後

    若いモーズリーに待ち受けていたのは、第一次世界大戦でした。

    彼は周りの反対を押し切り、兵隊として志願しました。

    そして、もうお察しの通り、1915年8月10日にヘンリー・モーズリーは27歳という若さで戦死したのです。

    ノーベル賞が受賞できなかったのも、死んでしまったからになります。

    彼の死後、イギリスや他の国でも、科学者を戦争に行かせないようになったです。

    このように、ヘンリー・モーズリーの存在は科学界を内側から外側まで大きく変えていくことになりました。

    おまけ:周期表の覚え方

    日本だと「水兵リーベ僕の船〜」って覚え方がありますよね?

    ですが、ここで紹介するのは、英語で全ての見つかっている元素覚えられる『The Periodic Table Song』という歌です。

    画像でその元素が何に使われているかがわかるので、歌詞は置いておいても為になると思います。

    「本当にこれを覚える人はいるのか」って思いませんか?

    これは私が海外の化学オリンピック最終予選の合宿にいたときのことですが、ほとんどの人が元素118個言えていたんです

    あれは衝撃でしたね。

    もし化学にとても興味がある・何か一つ芸が欲しいという方は、この歌にチャレンジする価値はありますよ!

    まとめ:知らなくても学べる楽しい化学の教養

    ニホニウム・モスコビウム・オガネソンの元素マーク

    この記事では、下記のことを学ぶことができましたね。

    ✔️本記事で学んだこと

    1. モーズリーが周期表に原子番号を持ち込んだ
    2. モーズリーの研究で新元素の発見が容易になった
    3. モーズリーの戦死のおかげで救われた科学者がいる

    前回に続き、今回も周期表について見てきました。

    化学の知識がなくても、これほど周期表が知ることが楽しいと感じられるとは思ってもいなかったのでは?

    なので、前知識がないなりに、新しいことをいろいろ学んでみると、新しい興味が生まれたりするかもしれません。

    また、化学での周期表の活用方法や読み解き方に興味がありましたら、次の記事が参考になりますよ。

    他にも、応用科学の父とも呼ばれる、19世紀最大の化学者「リービッヒ」の業績を紹介した記事もあります。

    もし化学でどんな発見や偉業が成し遂げられるのか気になるのなら、読んでみる見える世界が変わるかもしれません。

    この記事が面白かった・役に立ったと感じたのなら嬉しいです。

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